ブライアン・ウィルソンをモデルにしたロック小説『ホエール・ミュージック』の邦訳版がいよいよリリースへ
ブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)をモデルにしたロック小説『ホエール・ミュージック(仮)』(ポール・クォリントン著)の邦訳版がいよいよリリースへ。
DU BOOKSから2月20日発売予定。
●『ホエール・ミュージック(仮)』
ポール・クォリントン 著
奥田祐士 訳
あの『グリンプス』をしのぐ面白さ!
幻のロック小説がついに邦訳刊!
Brian Wilson Presents SMiLEツアーのパンフには、SMiLEにインスパイアされた文学作品が3作紹介されていた。
ルイス・シャトナーの『グリンプス』(創元SF文庫、ちくま文庫)とサルマン・ラシュディの『The Ground Beneath Her Feet』、そして本書、ポール・クォリントンの『ホエール・ミュージック』だ。
主人公はデズモンド・ハウルという天才的なミュージシャン。
しかし周囲からのプレッシャーとドラッグのせいで精神に変調をきたし、今では世捨て人同然の暮らしを送りながら、未完の大作《ホエール・ミュージック》の作業を、えんえんと続けている。
そんなある日、彼の家にクレアという少女があらわれる。
天真爛漫だがどこか悲しげな彼女と接していくうちに、ずっと閉ざされていたハウルの世界は次第に開けはじめ、かつての仲間たちの協力を得て、《ホエール・ミュージック》も完成に近づいてくる。
ところが恩人のクレアが行方知れずになり、ついにデズモンドは勇を鼓して、外の世界に踏み出すのだった……。
いうまでもなく「デズモンド」はブライアン・ウィルソンがモデルだが、ほかにも偽ロック史のエピソードがふんだんに盛りこまれている。
例えばビートルズが「エド・サリヴァン・ショウ」に出演したとき、デズモンド率いるハウル・ブラザース(ビーチ・ボーイズ)はなんとエルヴィスの家にいて、ピンボールで遊びながら横目で見ていた、とか…。
また、主人公はドラッグのせいで、ついさっきのことを忘れてしまうという設定なので、一人称の文章が時間的に痙攣し、カート・ヴォネガット的な効果を上げている。
「ブライアン」が女の子を捜してひさびさに外に出てからの、スラップスティック的な描写も楽しい。
著者のポール・クォリントンは、スティーヴン・リーコック賞の受賞経験があるカナダの作家兼ミュージシャン。
本書は「ペントハウス」誌で「史上最高のロックンロール小説」と絶賛された。1994年にカナダで映画化もされ、高評価を得ている。
著者
ポール・ルイス・クォリントン(Paul Quarrington)
カナダの小説家、劇作家、脚本家、映画作家、ミュージシャン、教育家。
スティーヴン・リーコック・ユーモア賞受賞(カナダのマーク・トゥエインと言われ,カナダで毎年出版される最も優れたユーモアのある作品に与えられる)。
ジョー・ホール&ザ・コンティネンタル・ドリフトというバンドでベースを弾いたり、当時、カナダで人気を博していたキャシー・スチュアートというシンガーのバックを務めたりしていた時期に、小説を書きはじめた。
ホエール・ミュージック
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